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そのひたむきな想いが。
仕草が。
表情が。
ただ、愛しい。
君と一緒にいる時間が増えて、君のことがだんだん見えてきて。
あまり笑わないと思っていた君が、あんなにおかしそうに笑う姿も。
怒ったときに少し顔を背ける仕草も。
泣きそうなときに必死に涙を堪えようとすることも。
全部、知っている。
「なぁ、ライト」
私のマントを少し引っ張りながら、君が呼んだ。
想いが通じ合ってから、私は君に別の呼び方で呼んで欲しいと頼んだ。
今まで呼ばれ続けた私の名は、どこか他人染みたもので。
そう思ってしまってはどこか不服で、不思議がる君にどうしてもと言ったのは記憶に新しい。
本当なら自分の名前を思い出して、自分だけの呼び名で呼んで欲しいのに。
それができないことがもどかしい。
「何だ?」
頭の中ではいろいろと考えているのだが、君の行動が愛らしく思え、顔が自然にほころぶ。
そのままそちらを向いて答えたところ、君は顔を赤くして俯いた。
「しばらく、このままでいいか?」
何とも可愛らしい要求ではないか。
しばらくはその要求を受け入れ、君はマントを掴んだまま私の後ろを歩く。
しかし、だんだん腑に落ちなくなってきた。
まるで、このマントに君を持っていかれそうで。
…私はマントにまで嫉妬するのか?
そう思う自分に呆れる反面、やはり腑に落ちないので歩む足を止める。
「…ライト?」
戸惑う君に、手を差し出して。
「こちらじゃ、ダメか?」
そう聞き返したら、君は顔を赤くして、ぶんぶんと音がしそうなくらい横に振った。
繋いだ手から、手袋越しに感じる暖かさ。
その繋いだ手を見て、君があまりに幸せそうな顔で微笑むから。
ついつい引き寄せて、そのまま君に口付けを。
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