ごめんなさい。
あなたの優しい手を、どうしても思い出したいのです。
これはボクがあなたに望む最初で最後のワガママ。

あなたはボクの、たいせつなひと。


piece 1. プロローグ
piece 2. 犬飼くんとボク
piece 3. スリーアウト
piece 4. あなたに続く道
piece 5.
piece 6.
piece 7.

このお話では、ボク以外の人物は犬飼くんのいない日常を普通のものだと受け入れて暮らしています。
そんな日常を受け入れられない人は、このお話を聞くことをお奨めしません。
ボクも受け入れたくないから必死で記憶を探しているのです。どうかご理解ください。



ボク
このお話の語り手。本名は子津忠之介。
犬飼くんがいない日常に唯一違和感を感じていること以外は、どこにでもいる感じの高校2年生。
1年ほど前から霊感が強くなっていますが、それは何故か手にしていた犬飼くんの力の一部の影響らしいです。

犬飼くん
天使。所属は下級3隊第9階級日本支部。主に関東地区の人類担当。本名は犬飼冥。
何らかの経緯で突如その存在を抹消したので、彼のことを覚えている人は誰もいません。
ボクが記憶を取り戻すことに関して酷く消極的で、諦めさせるために暴言を吐くことも。

「天使」
ボクの姿を借りて出る謎の人物。しかし元は人ではないらしい。
犬飼くんに力を返したくないと主張するボクに賭けを持ち込みました。
慈愛に満ちているように見えて、ただのドSだとボクは思っています。